寒の戻りがありながらも、陽の光は確実に力を増してきているようです。
時候は、立春からもうすぐ雨水へ。
七十二候では「魚上氷(うおこおりをいずる)」。
徐々に上がってきた気温に、魚たちが元気に泳ぎ回る姿が見られる時候です。
暖かな春は、少しずつ近づいているようです。
いつもの道の樹木にも、小さな赤い実がなっているのを見つけました。
いつの間に、実をつけていたのでしょうか。
朝日に照らされて、その色を輝かせていました。
赤、というのは実に不思議な色のように思います。
燃える炎や、太陽の色。
リンゴの色や、イチゴの色。
バラの花の色。
消防車の色。
神社の鳥居の色。
私たちの、血の色。
燃え盛るようなエネルギーを持った色でありながら、どこかその色がふさわしいのは、冬の季節のように思うのです。
冬枯れ、という言葉があるように、生命のサイクルの中では終わりの季節が冬なのに、不思議なものです。
赤以外の、冬の色といえば。
枯れ木や落ち葉の茶色、灰色、あるいは雪の純白。
モノトーンの色調のなかにありながら、赤もまた冬の色のように感じます。
冬が終わると、春がやってくる。
生命のめぐりの、終わりとはじまりが重なる場所。
そんな季節が、冬なのかもしれません。
小さな赤い実は、どこか冬の名残のように感じられました。
春、近し。
季節は、今日も移ろいゆくようです。