「感情的理解」とは、善悪や正しさといった判断ではなく、その人の感情ベースで理解しようとする心のはたらきを指します。
ただそれは、自分の心に余裕がないと、できないものです。
1.自分にどんな言葉をかけているだろう
先日の記事では、自分自身に対してかける言葉が、自己肯定感を育む、というテーマでお伝えしました。
自分自身に対してかける言葉が、自己肯定感を育む。 - 大嵜直人のブログ
自分に対して欠けている言葉って、無意識なんですけれど、すごく自己意識というか、セルフイメージに影響が大きいんですよね。
24時間、365日一緒にいるのが自分自身なわけですから、それは当然なのかもしれません。
どんな言葉でも、それが真実であったとしても、そうではなかったとしても、四六時中それを聞き続けていたら、そう思い込んでしまうものです。
まして、それが最も近しい存在である、自分自身が発する言葉だったら…そりゃあ、影響力も大きくなるのも、当然のことですよね。
でも、私たちは自分が「当たり前」にしていることって、無自覚なんです。
それが、他人に対して向けたら名誉棄損とか誹謗中傷とかいわれそうなことを、自分に対して投げかけていたりします。
たとえ、そこまでいかなかったとしても、親しく大切な友人にかけるのに、ふさわしくない言葉を、いつも自分にかけていたりします。
「なんで、お前はこんなこともできないんだ」とか。
「甘ったれんなよ、この〇〇(自主規制)」とか。
もちろん、時には厳しさという接し方も、必要です。
ただ、それはベースに信頼関係があってこそ、なんですよね。
その信頼関係をつくるために、まずは自分の感じていることに自分が共感することが大切である、というのが昨日のテーマでした。
「感情的理解」を、自分自身に向けてあげる、と表現することもできます。
そうすることで、自分自身の土台というか、安全地帯というか、そういったものがつくられるわけです。
これが、自己受容や自己肯定感を育むベースになるわけです。
2.「感情的理解」のススメ
今日は、その「感情的理解」について、少し掘り下げてみたいと思います。
私のブログでも、何度もご紹介しているとおり、「許し」のプロセスのなかに出てくるものです。
その字の通り、その相手のことを「感情的に」理解する、という心のはたらきを指します。
目に見える行動や事実ではなく、その相手の「感情」にフォーカスする視点です。
たとえば、自分に向かって、パートナーが悪い態度を取ってきたとします。
それは、冷たい態度だったり、心ない言葉を吐いてくるような態度かもしれません。
そっけない態度を取られた。
自分のことを否定するようなことを言われた。
それは、事実です。
しかし、そうした行動を取ったパートナーの心情を推し量ることは、できるわけです。
「あの人が、こんな態度を取るなんて、何かあったのだろか」
「仕事のことなのか、それとも、違うことなのか…そんな悪い態度を取らざるをえないくらい、いっぱいいっぱいなのかもしれない」
そうした「感情」をベースに、相手のことを理解しようとする心のはたらきが、「感情的理解」です。
これを、「善悪」「正しさ」をベースに見ると、対立を深めることになったりします。
「そんな態度を取るのは、間違っている」
「どんなときでも、親しい人の前では機嫌よくするのが当たり前でしょ?やっぱり、この人は人としておかしい」
といったように。
なんだか、溝が大きくなるのが、容易に想像できてしまいますよね笑
もちろん、「悪態をついたりしてもいい」と言っているわけでは、ありません。
ただ、そんなことは、相手も分かっているはずなんですよね。
それが、「悪い態度を取らざるをえない理由」があるのかもしれない、と考えるのが、「感情的理解」の一歩目です。
これを深めていくと、「もし自分が同じ立場だったら、同じような行動をしていたかもしれない」というところまで、行き着きます。
そうすると、自分の心の置きどころも変わってきますし、相手に対してできるアプローチもまた、変わっていくんですよね。
そんな風に相手を理解しようとするのが、「感情的理解」です。
3.感情を解放して、心に余白をつくることが大切
この「感情的理解」ですが、大前提として、自分の心に余裕がないと、できません。
だって、パートナーが悪い態度を取っていたとして、自分がいっぱいいっぱいの状態だったら、「ふざけんな、このヤロー!」とブチ切れてしまいますよね笑
だから、先ほどの「許し」のプロセスでもそうなんですが、「感情的理解」の前には、自分の心に余白をつくっておくことが大切になります。
具体的には、自分のなかにある感情を解放してあげることです。
自分のなかに湧き出てきた感情は、感じることでしか解消しません。
それを、何らかの理由で我慢したり、抑圧したりしていると、ずっとトイレを我慢し続けているような、そんな状態になってしまいます。
お腹が痛くてトイレを必死で探しているときに、他人のことなんて構っている余裕なんて、ないですよね笑
だから、自分のなかにある感情を解放して、余白をつくっておくことが、大切なわけです。
カウンセリングで話をしたり、親しい人に聞いてもらったり、身体を動かしたり、歌ったり…いろんな方法があると思います。
感情を解放して、自分のなかに余白をつくっておくこと。
それが、「感情的理解」をする上で、大切になります。
これ、自分に対して「感情的理解」をする上でも、同じなんですよね。
まずは、自分のなかにある感情を解放して、余裕をつくっておくこと。
そうすることで、自分自身に対しても、「感情的理解」の視線を向けることができます。
今日は、自分自身に対してかける言葉が、自己肯定感を育む、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
〇大嵜直人のカウンセリングの詳細はこちらからどうぞ。
※次回9月度のカウンセリングは、8月25日(日)から募集開始となります。
〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。