めずらしく、丑三つ時に目が覚めた。
ぼんやりとした夢うつつの中、雨の音を聞いた。
再び目覚めた朝、まだその音は続いていた。
ここのところ、朝晩の冷え込みが感じられるようになっていたが、少し暖かな朝だった。
時に、「霜降」。
冷たい露が草木に宿る「寒露」から、霜が降り始める時候。
そんな今日だが、まだ「露」に未練があるのか、朝から雨が地を愛でていた。
葉に落ちた雨粒が、どれも美しく。
雨は「落ちる」と表現するのに対し、霜は「降る」と表現する。
そう思うと、霜は雪の仲間なのだろうか。
そんなことを考える。
露から霜に変わっても、変わらなくても。
ただ、時は流れていく。
流れのままに、そのままに。
夕方近くになって、雨は止んだ。
秋らしい、不思議な形の空模様が広がっていた。
腕を撫でていく風が、ひんやりと冷たかった。
そろそろ半袖では寒くなってきた。
やはり、時は流れ、季節は流れていく。
どこか遠く、空の向こうで、今朝ぼんやり夢うつつの中で聞いた、雨の音が聞こえたような気がした。