人は「寂しさ」が嫌いで、それを感じないようにしてしまったりします。
しかし、一つの感情だけを感じないようにすることは、できません。
徐々にすべての感情を感じづらくなっていくことが、「寂しさ」を抑圧することの怖ろしさです。
1.不足感と寂しさの心理
先日の記事では、ちゃんと「寂しい」と言えますか、というテーマをお伝えしました。
「寂しさ」という、私の大好きなテーマの一つですね笑
「寂しさは人を狂わせる」といわれます。
人が狂うというと、正常ではない判断をしたり、なにかにハマってしまったりするわけですが、そうしたものの原因に「寂しさ」がある、という見方です。
これは、ほんとうにその通りだな、と私自身も思います。
そして、この「狂わせる」のは、何も「わたし、寂しいよー」とすすり泣くような状況ではないんですよね。
むしろ、それは正常です。
「寂しい」と言えているだけ、素晴らしいんです。
ここでいう「狂う」というのは、「寂しさ」を自覚できない状態なんですよね。
自分が「寂しい」と自覚できないくらい、寂しさを抑えつけている人。
「寂しさ」なんて、自分には関係ないと思い込んでいる人。
そうした人が、「寂しさ」を忘れるために、刺激物を求めたりします。
アルコールやギャンブルといった分かりやすい刺激もあれば、不倫のようなアンダーグラウンド、あるいは傍目からすると「いいこと」のように見えるハードワークなんかも、「寂しさ」ゆえにしていたりします。
それくらい、「寂しさ」って、人間にとってイヤな感情であり、それを忌み嫌うがゆえに、こうした刺激を求めたりもするのです。
ただ、「寂しさ」という感情は、人間にとって原初的な感情であるともいわれます。
昨日の記事では、こうした「寂しさ」を感じることは、とても大切なことである、とお伝えしました。
2.「寂しさ」だけを抑えることは、できない
人は「寂しさ」が大嫌い。
それを忘れるために、刺激物を必要としたりもする。
あるいは、それを感じるくらいなら、何も感じない方がマシ。
そんな風に思うくらい、私たちは「寂しさ」が嫌いなんですよね。
集団生活を営むことで生き延びてきた、私たち人類の根源的なものなのかもしれません。
それはともかくとして。
人は「寂しさ」が嫌いで、それを抑えようとしたり、感じないようにしてしまうのは、間違いないようです。
もちろん、そうしてしまうのには、なんらかの痛みであったり、傷ついた経験があるからこそなのですが。
そうして「寂しさ」を抑えたり、感じないようにしていると、ある問題を引きおこします。
それが、「寂しさ」以外の感情も、感じづらくなる、という問題です。
「寂しさ」というネガティブな感情「だけ」を、感じなくすることは、できないんですよね。
一つの感情を抑圧すると、徐々にすべての感情が感じづらくなっていきます。
感情を感じづらい、不感症のような状態になっていくわけです。
これが、怖いんですよね。
感情って、自分でコントロールすることはできないものです。
浮かんできたら、それを感じて流していくしかないもの。
けれど、それを抑圧していると、常に湧き出てくるマグマを抑えつけているような、そんな状態になるんです。
湧き出てくるものを抑え込んでいるわけですから、そこに膨大なエネルギーが取られますし、何かの拍子にそれが爆発してしまうことだって、あるのでしょう。
いえ、爆発するなら、まだいい方かもしれません。
抑圧しすぎた末に、何も湧き上がってくるものが無いような、乾き切ったような状態になってしまったりすることもあります。
3.感情はミルフィーユのように
「寂しさ」以外の感情も、感じづらくなる。
その先に待っているのは、感情の感じづらい、
それが、「寂しさ」を抑圧することの、真の怖ろしさです。
ただ、もしそうなったとしても。
「寂しさ」を癒していくことで、少しずつ感情を、世界の彩りを取り戻していくことができます。
よく例えられるのですが、感情はミルフィーユのように、層になっていると言われます。
たとえば、「寂しさ」という感情の下には、「悲しさ」が眠っていたり。
その「悲しさ」を感じていくと、その下にはどうしようもない「空しさ」がいたり。
カウンセリングのなかでも、感情の層が変わったと感じる瞬間があったりもします。
どれだけ抑圧していても、感情はなくなりはしません。
抑圧しても、そのときに感じられなかったとしても。
感情は、ただ感じられることを、待っているのです。
そして、感情を感じていくことができると、自分の周りの世界は少しずつ、彩りを取り戻していくのです。
今日は、ちゃんと「寂しい」と言えますか、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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