「誰かに言いたいことは、自分に言いたいこと」といわれるように、外側の世界を見ることは、自分の内面と向き合うことでもあります。
突きつめていくと、私に会いにきてくださるクライアントさまは、私を救いにきてくれた人だと思うのです。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.あなたに助けを求めてくる人は、あなたを救いにきた人
ふつうなら自分が傷ついているとか、何かが完了していないとか、なかなか気づくことはできません。
表面的には癒されているように見えても、内面には未完了のまま残っていることがよくあります。
あなたに助けを求めてくる人は、あなた自身の一部を癒すのを助けてくれる人なのです。
そこであなたがその人に与えるアドバイスは、じつはあなた自身こそいちばん必要としていたものだったと気がつくのです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.240
2.誰かに言いたいことは、自分に言いたいこと
今日の引用文は、私の大好きな一節です。
何度読んでも味わい深い、そしてカウンセラーとしての原点に立ち返らせてくれる、一節です。
何かを言いたくなる時は…
「誰かに言いたいことは、自分に言いたいこと」
という金言があります。
もう、この一文だけで、今日のテーマはおしまい!でもいいくらいの強烈な金言ですよね。
誰かにアドバイスを送るとき、実はその言葉を最も必要としているのは、自分である、と。
一瞬で終わってしまってはアレなので、もう少し引き延ばしてみます笑
ものすごく単純に、「投影」を使って、説明してますね。
誰かに何かを言いたくなるとき。
それは、誰かのなかに、何か気になる部分や、直した方がいいと感じる部分や、よくないと感じたりする部分があったりするわけですよね。
それは、誰かから相談を受ける場合もあれば、傍から誰かを見ていて、そう感じることもあります。
では、なぜそう感じるのか。
人は、自分の内面にあるものを、外の世界に映し出します。
言い換えると、私たちが外の世界に見るものは、すべて自分のなかにあるものだ、とも言えます。
いわゆる、「投影」とよばれる、単純な心のはたらきです。
ということは。
誰かに何か言いたいと感じるとき、その問題点は自分のなかにあるものを、相手に「投影」して見ているわけです。
あら、びっくり。
ということは。
日々相談をお聞きして、ああだこうだいう「カウンセラー」なんてのは、もう毎回毎回、自分に対してそれを言っているわけでもあります。
あら、びっくり。
これを書いている私自身も、例にもれず、そうなわけです。
どれだけ、たくさんの問題を抱えているんでしょうね笑
答えは、自分が一番よく知っている
それは冗談ですが、この視点で面白いのは、「問題を見るのも自分だけれど、答えも自分自身は知っている」という点でしょうか。
だって、誰かに何かを言いたくなるとき、それは自分の問題を見ているわけですから。
そして、その問題に、何がしかのアプローチを言いたくなっている=知っているわけです。
「答えは自分の中にある」
とは、なんだかどこかの映画のセリフのようですが、こうやって考えてみても、本当なんですよね。
こうやって見ると、面白いですよね、ほんと。
そういった意味でも、今日の一節は、私が心理学を学んでいく中で、目からウロコボロボロだった一節だったんです。
「自分の内側を見つめる」、「自分と向き合う」、「内面と対話する」といったことが大切だと、よく言われます。
けれども、外の世界に目を向けても、それは同じことなのかもしれません。
自分の内面にあることを、映し出すのですから。
外の世界に見ることを、自分の内面の鏡として見るならば。
内も外も、同じなのかもしれません。
それは、陰陽が極まれば反転することと、似ているようです。
3.クライアントさまは、私を救いにきてくれた人
自分の傷や痛みに、自覚的であること
さて、そんなこんなの今日のテーマですが。
私のカウンセラーとしての原点に、立ち返らせてくれるテーマでもあります。
すなわち、クライアント様は、私を救いにきてくれた人である、と。
大変内輪のお話を晒すようで恐縮なのですが、
カウンセラー・マインドの発露は、「誰かの役に立ちたい」「誰かのためになりたい」というところから始まります。
しかし、往々にしてそういった想いは、ほんとうのところ、一番救われたいのは、自分自身だったりします。
自分が傷ついている分、それを相手に「投影」し、だから助けようとする。
それがいいことでも、悪いことでもないのですが、そのことに自覚的であるかどうか、というのは、非常に重要だとは思います。
私自身も、カウンセラーを名乗っていながら、完全に癒されているわけでもありません。
心の中には傷まみれの部分もありますし、凍えるような寂しさに震えるときもあります。
5歳児(3歳児?)のように拗ねて、引きこもって、周りに迷惑をかけます笑
はい、ようやく、それを自覚できるようになったんでしょうね。
「クライアントさまは、私を救いにきてくれた人」
そして、だからこそ。
だからこそ、会いに来てくださるクライアント様は、私を救いにきてくれた人なんです。
自分が救われたいという、エゴはなかなか消せません。
けれども、自分「だけが」ではなく、自分「も」と考えることができれば、決して悪いものでもないような気もします。
よりよい世界をつくれるような気が、するのです。
だからこそ、目の前のクライアントさまの才能や魅力、愛や勇気を、全力で見つめ、全力でお伝えしたいと思うのです。
そんなことを思いながら、カウンセリングをしています。
今日は、私の大好きな一節に寄せて、書かせていただきました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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