大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「あなたはあなた」であり、「あなたはわたし」でもあり。

癒着を癒すのに、「あなたはあなた、わたしはわたし」という言葉が有効です。

しかし、その逆もまた、真実だったりします。

1.癒着をゆるめる言葉

昨日の記事では、癒着をゆるめるために、というテーマでお伝えしました。

癒着を癒す魔法の言葉、「あなたはあなた、わたしはわたし」。 - 大嵜直人のブログ

癒着とは、ある相手との心理的な距離が近くなりすぎている状態をいいます。

相手とぴったりとくっついて、ずーっと離れられない状態。

ご飯を食べるときも、トイレのときも、仕事のときも、ずーっと一緒にいるのは、さすがにしんどいですよね。

恋愛初期のロマンス期なら、それもいいのかもしれませんが笑

相手の感情に影響を受けたり、気を遣ったり、あるいは、その逆だったり。

そうした癒着を引き起こすのは、多くの場合、罪悪感が原因だったりします。

相手に対してだったり、それ以外のことであっても、何らかの罪悪感があると、相手と心理的に近づき過ぎて、離れられなくなります。

そして、罪悪感があるということは、その裏側には愛がある、ということでもあります。

そもそも愛が無ければ、罪悪感を感じることもないのでしょうから。

だから、癒着を切る、ゆるめる、癒すというのは、ある意味で、愛する存在と離れないといけない辛さがあるわけです。

でも、癒着したままだと、お互いに身動きがどんどん取れなくなり、しんどくなるわけですから、徐々にそれを癒していくことが必要になります。

昨日の記事では、まず自分と相手を切り離すために、有効な言葉をご紹介しました。

「あなたはあなた、わたしはわたし」

私も、何度もこの言葉に救われてきました。

相手との間に、明確な線を引くこと。

それを、教えてくれる言葉です。

2.個の確立と「つながり」

「あなたはあなた、わたしはわたし」

それは、自分の軸を確立する上で、とても大切な真実です。

しかし、それだけがすべてでは、ありません。

というか、それだけだと、なんだかこの世界は、お互いに孤立していて、寂しい感じがしますよね。

そうでは、ないんです。

私たちは、一人ひとり、独立した個の存在です。

それが、お互いの境界線を越えて、近づき過ぎると、癒着の問題が起こったりします。

あくまで基本は「個」であり、自分という存在を確立するためには、「あなたはあなた、わたしはわたし」という意識が、まずは必要です。

でも、そこで終わりではないんですよね。

心理学が教えてくれる真実のひとつに、「つながり」があります。

私たちは、お互いが独立した個の存在ではありますが、「つながり」を持つことができます。

それは、私が多くを語るまでもないことなのでしょう。

小説や映画や物語、舞台や芸術といったもので、多くの人が表現しようとしてきたテーマだと思います。

ただ、それは、癒着的なつながりではありません。

あくまで、「あなたはあなた、わたしはわたし」という、確立した個が前提になるものです。

3.「あなたはわたし、わたしはあなた」

その上でのつながりとは、

「あなたはわたし、わたしはあなた」

と表現できるのでしょう。

投影の視点から見ると、相手のなかに見るものは、すべて自分のなかにあるものです。

その考えを突き詰めていけば、この世界に見えるものは、すべて「私の分身」であるわけです。

大嫌いなあの人も、私の「シャドウ」なのでしょうし、

愛してやまない「推し」の存在も、私のかけらなのでしょうし、

受け入れがたいパートナーもまた、私の一部ですし、

道すがら袖振り合う人もまた、私の一部なのでしょう。

そして、それを逆から見れば、私自身もまた、誰かの一部でもあります。

「わたしはあなた」であり、「あなたはわたし」であるのですから。

このあたり、言語での表現は難しいものがありますよね。

感覚的にとらえた方が、わかりやすいものです。

子育てをされている方は、ふっとそんな感覚に陥ること、ありませんでしょうか。

あるいは、愛おしい人と身体を重ねているとき、どこまでが自分の身体か、わからなくなったりしませんでしょうか。

ほかにも、思い当たる感覚というのが、誰にでもあると思います。

たぶん、その感覚が、真実なのだと思うのです。

もちろん、私たちはすぐにそれを忘れてしまうんですけれどね。

でも、また思い出せばいいんです。

あなたはあなた、わたしはわたし。

そして、

あなたはわたし、わたしはあなた。

今日は、あなたはわたし、わたしはあなた、というテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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