コミュニケーションを考えるとき、どうしても私たちは「何を伝えるか」を重視してしまいがちです。
しかし、「何を伝えるか」も大切なのですが、「どうあるか」もまたそれ以上に大切だったりします。
1.「本音」は、相手を傷つけない
昨日の記事では、「本音」は相手を傷つけない、というテーマでお伝えしました。
「言いたいことを、言えない」問題からのお話でした。
思っていることを相手に言えない、伝えられないとき、どうしても後悔しやすくなりますし、言えなかった自分を否定してしまいやすくなります。
そして、自分の感じていることを、相手と共有できない寂しさというか、悲しさも募ります。
誰しも自分のことを理解してもらいたい、共感してもらいたいという欲求は、人の根源的なものですしね。
こうした「言いたいことを言えない」ときの心理を考えていくと、相手の心情を推し量ってしまうケースがあります。
多いのは、「自分の言いたいことを言ってしまうと、相手は傷つくんじゃないか」といったことですよね。
そうしたとき、まずは相手のことを先に考えられる、慮ることができる、という自分の価値を見ることももちろん大切ですが、昨日のテーマでは「ほんとうに伝えたいことは、相手を傷つけない」という視点でした。
これは、表層的な感情(特にネガティブなもの)は、どうしても相手に言いたくなるものですが、本音というか、ほんとうに伝えたいことって、その奥にあるものではないだろうか?という視点ですね。
ネガティブな感情の奥底にある、相手を想う気持ち、あるいは愛情、そういったものが、ここでいう「本音」と呼んでいるものであり、それは決して相手を傷つけることのないものです。
昨日の記事では、そんなテーマをお伝えしました。
2.何を伝えたらいいか、迷うとき
「本音」というテーマのつながりでいえば、カウンセリングでよくお伺いするのが、「何を伝えたらいいのか」というコミュニケーションの問題です。
パートナーシップにおいて顕著なのですが、パートナーに対して
「何を言ったらいいんでしょうか」
「こんなことを言ってしまったのは、よくなかったですかね?」
そういったお話を伺うことがあります。
もちろん、大切な人との関係性をよくしたいと思って、悩まれているわけですから、それはその方にとって、とても大切な問題なわけです。
けれども、難しいのは、こうしたコミュニケーションの問題って、正解がないんですよね。
相手がどう受けとるかは、自分にはまったくコントロールできないものです。
むしろ、コントロールしようとすると、まったくうまくいきません笑
「こうすればうまくいく」というメソッドが、通用しないのがコミュニケーションであり、またパートナーシップでもあるんですよね。
もちろん、成功例はいくらでもあると思います。
パートナーとの倦怠期を乗り越えた人が、どんなことを相手に伝えていたのか。
一度振られたのに、よりを戻すことができた人が、どうやって気持ちを伝えたのか。
それらのできごとから、「こうしたら、うまくいった」という経験則を導くことは、できるのでしょう。
けれども、そうした経験則が、誰にでも当てはまるかといえば、決してそうではないんですよね。
こと、そうした経験則から、相手をコントロールしようとすると、まったくうまくいかないものです。
ほんと、コミュニケーションって、特に関係性が近しい人であればあるほど、難しいものです。
3.何を伝えるかよりも、どうあるか
そうなってくると、じゃあ何を伝えたらいいの?と、迷ってしまうかもしれません。
ただ、コミュニケーションに正解って、ないんですよね。
何をもって正解かの定義も、難しいものです。
関係性を深めていくため、としてみても、そのために葛藤や衝突することも、時には必要になってくるのかもしれません。
何を言ったらいいか、何を伝えたらいいか、ということに正解はありません。
もちろん、ベターな方向性というのは、あるのでしょう。
相手が受けとりやすい表現であったり、タイミングであったり。
そうしたものを考慮して伝える、といったように。
けれども、それ以上に大切なのは、「何を伝えるか」よりも、「(自分が)どうあるか」の方なのかもしれません。
要は、相手に言葉で伝えることって、私たちが伝えていることのほんの一部でしかありません。
それ以外の、普段接している雰囲気だったり、態度だったり、表情だったり…そうした部分から受けとっているものって、ものすごく多いものです。
そうしたものは、「どうあるか」から、にじみ出てくるものだったりします。
言い換えれば、自分を整えるというか、そういったことが、「何を伝えるか」よりも大切なのでしょう。
それは、自分の感情を溜め込むのではなく、ちゃんと安全な場所で感じ尽くしておく。
自分の機嫌を、自分でとっておく。
相手への想いを、もう一度見つめ直しておく。
そうしたことが、「何を伝えるか」と同じくらい、時にそれ以上に、コミュニケーションにおいては大切なことなのでしょう。
今日は、何を伝えるかも大事だけれども、どうあるかもすごく大切、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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