大嵜直人のブログ

たいせつな何かをなくした心に、ともしびを。

サラブレッド

蛯名正義騎手の引退に寄せて。

出会いと別れの、春。 競馬界においても、2月の終わりは別れの時期だ。 家業を継ぐために勇退される角居勝彦調教師、定年を迎える石坂正調教師や松田国英調教師など、今年は8名の調教師が引退となった。 そして騎手では、蛯名正義騎手が鞭を置いた。 昨年、…

砂上に舞う、名手たちの手綱。 ~2021年フェブラリーステークス 回顧

2021年のGⅠ戦線の劈頭を飾るフェブラリーステークス。 灰色の冬空の下、府中に今年最初のGⅠのファンファーレが鳴り響く。 昨年の覇者、モズアスコットは昨年末で現役を退き、長い間主役級を張ってきたゴールドドリームも同じく昨年いっぱいで引退した。 バト…

【ご案内】京都記念とテイエムオペラ―に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は伝統のGⅡ・京都記念が施行されます。 今年は京都競馬場の改装工事のため、阪神競馬場での開催。 例年とは異なる趣きですが、古馬中長距離路線の有力馬たちの始動戦としての位置づけは変わりません。 さて、いまから20年前、ミレニアムの京都記念に想い…

【ご案内】旅に生きたホクトベガと川崎記念の思い出を、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

時に大寒。 寒さ厳しき折から、立春に向かうころ。 川崎競馬場では、ダートの古馬王者決定戦・川崎記念(JpnⅠ)が施行されます。 身を切るような厳寒の中、乾いた砂塵を巻き上げながらの熱戦は、ダート競走の醍醐味ともいえます。 そんな川崎記念を、四半…

大いなるマンネリ。

「大いなるマンネリ」という言葉がある。 マンネリと聞くと蔑むニュアンスがあるが、「大いなる」という形容詞がつくことで、それは称賛に変わる。 時は、重ねるごとに味わい深くなる。 = 「大いなるマンネリ」の最たるものの一つが、競馬であろう。 年が明…

牝馬の時代。 ~2020年有馬記念 回顧

2020年の掉尾を飾る有馬記念。 夢の対決と謳われたジャパンカップの主役を務めた3頭の出走はなかったが、それでもGⅠ馬8頭と現時点における中長距離路線の主要メンバーが揃ったレースとなった。 勝ったのは北村友一騎手の4歳牝馬、クロノジェネシス。 逃げた…

いつか通った道。 ~2020年ホープフルステークス 回顧

ホープフルステークスがラジオNIKKEI杯2歳ステークスから名称変更となり、中山競馬場に施行場所が変更となったのが2014年。 それ以来、施行時期というのが、いつもある種の議論の的となってきた。 「有馬記念の後か、先か問題」というものである。 「1年の締…

マイルの華。 ~2020年朝日杯フューチュリティステークス 回顧

感染症の拡大による人々の行動様式の劇的な変化。 無敗の牡馬・牝馬三冠馬の誕生、そして9冠牝馬との激突。 1年前では想像だにしなかったことが起こり、そして人知を超えた奇跡が多く起きた2020年。 そんな年も、時は過ぎゆく。 気づけば今年の関西最後のGⅠ…

白の結実。 ~2020年阪神ジュベナイルフィリーズ 回顧

コントレイルとデアリングタクトによる、無敗の牡馬・牝馬三冠の達成。 アーモンドアイによる芝GⅠの最多記録、9勝という偉業の達成。 奇跡の年として記憶されるであろう2020年に、また不滅の記録が誕生した。 白毛馬・ソダシによる、史上初のGⅠ勝利。 おそら…

力勝負と快気祝い。 ~2020年チャンピオンズカップ 回顧

4コーナーを3番手で回る、前年の覇者。 単勝1倍台、圧倒的な1番人気に支持された、国内無敗の王者・クリソベリルと川田将雅騎手。 2020年のチャンピオンズカップは、そのクリソベリルに対し、前年の同レースで2~4着のゴールドドリーム、インティ、チュウワ…

【ご案内】チャンピオンズカップに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は、我らが中京競馬場で開催される、GⅠ・チャンピオンズカップ。 暮れの中京を舞台に、砂の精鋭たちが覇を競います。 そんな師走の大一番の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 uma-furi.com サラブレッドは血のドラマだと言われ…

新時代。 ~2020年ジャパンカップ 回顧

2020年11月29日。 感染症禍の下、東京五輪は延期となり、人と会うことも、競馬場に足を運ぶことも、歓声を送ることもままならぬ。 誰の記憶にも残るであろうその年に、日本競馬は一つの頂点を迎えた。 史上初となる、三冠馬3頭による激突。 史上最多のGⅠ8勝…

勝ちに不思議の勝ちなし。 ~2020年マイルチャンピオンシップ 回顧

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし 今年2月に逝去された、故・野村克也氏が生前よく口にされていた言葉だ。 相手が勝手にミスをして勝ちが転がり込んでくることがあるから、「不思議な勝ち」は存在するが、負けるときは必ず何か理由があって負…

暴君の娘から、淑女へと。 ~2020年エリザベス女王杯 回顧

はたして「行ってしまった」のか、「行かせた」のか、それとも「行かざるを得なかったのか」。 ノームコアがハナに立つと、どよめきにも似た空気が阪神競馬場から伝わってきた。 鞍上が押していないところを見ると、無理に抑えてかかるくらいなら、気持ちよ…

【ご案内】エリザベス女王杯と出逢いに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

秋のGⅠシーズンもいよいよ佳境に入り、今週から年末までGⅠ・8連戦。 その劈頭は、晩秋の古都を彩る女王決定戦・エリザベス女王杯。 今年は京都競馬場が改修工事となるため、阪神競馬場での開催となり、例年とは違った趣となります。 そんなエリザベス女王杯…

待ちきれない。

時に、1989年11月9日。 ベルリンの壁、崩壊。 ツルハシで壁を壊し、その欠片を拾ってカメラに見せ、雄たけびをあげる男性。 壁の上に二人で座り、ピースサインを掲げる男女。 そんな大騒ぎが、テレビのニュース番組に映し出されていた。 なぜドイツが東と西…

Threshold. ~2020年天皇賞・秋 回顧

20世紀に生きた、比較神話学の泰斗であるジョゼフ・キャンベル。 彼は、世界中の神話の中にある共通のパターンが存在することを見出した。 古今東西、世界の多くの国の文化、歴史を超えて、共通して立ち現れるこのパターンを、彼は「英雄の旅(Heroes and th…

奇跡の年。 ~2020年菊花賞 回顧

ファンファーレが鳴り、拍手が起こる。 この秋のシーズンを最後に改装に入る京都競馬場、その改装前の最後の菊花賞。 コロナ禍による入場制限がなければ、どれくらいの入場者数を記録したのだろう。 春の二冠馬・コントレイルと福永祐一騎手による、無敗の三…

好きなものには、衒いなく。

本が好きなのだが、「装丁の美しさ」というのは、本を選ぶうえで重要なファクターの一つだと思っていて。 それは、電子書籍にはない要素かもしれない。 書店に並んでいる多くの本の中で、ふと目に留まって手に取りたくなる装丁の本がある。 そうして選んだ本…

史上初の偉業は、おとぎ話のように。 ~2020年秋華賞 回顧

10月のやわらかな陽光が、ターフを照らす。 前日まで降っていた雨は上がり、馬場は稍重まで回復した。 感染症対策により高松宮記念から続いた無観客でのGⅠ開催だったが、秋華賞において、ようやく有観客での開催を再開するまでに至った。 事前抽選に当選した…

最後のピースは、最後方からの豪脚とともに。 ~2020年スプリンターズステークス 回顧

ビアンフェが、嫌がっていた。 鞍上の藤岡佑介騎手が促すも、ピタリと動かない。 もし、有観客での開催だったら、スタンドは大きくどよめいていたのだろうか。 もう20年以上も昔、天皇賞・秋で枠入りを嫌がっていたセイウンスカイの姿を思い出した。 あのレ…

【ご案内】オールカマーの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

昨日は、秋のGⅠシーズンの前哨戦となるオールカマーと神戸新聞杯がありました。 このふたつのGⅡの週がくると、いよいよ秋のシーズンだな、という感があります。 さて、そんなオールカマーですが、遥か30年以上も昔の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させ…

空飛ぶ想い出は、陽光とともに。 ~2020年ナッソーステークス 回顧

夏の陽光が、透き通ったその足を伸ばしていた。 イギリスはグッドウッド競馬場を映し出す画面を、見ていた。 世界で最も美しいと称されるその競馬場は、この夏の開催が白眉だそうだ。 「グロリアス・グッドウッド開催」とも称される、その美しい風景。 未だ…

書き手冥利と、書く怖さについて。

先日寄稿したウマフリさんへの記事に、ありがたい感想をTwitter上で見かけた。 泣いた。生きててくれてありがとう。現役最後のレース見に行けて本当に嬉しかった。君のファンで本当に良かった。 https://t.co/l1TEjSltv5 — でめきん@りお (@demekin00815) J…

【ご案内】中京記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は3回中京開催の掉尾を飾る、中京記念。 中京マイルを舞台に、サマージョッキーシリーズ、サマーマイルシリーズを形成する一戦。 そんな伝統のGⅢの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 2018年、記録的な猛暑として記憶される夏。…

最大着差の最大幸福。 ~2020年宝塚記念 回顧

阪神内回りコース、2,200mという非根幹距離、開催最終週、そしてパンパンの良馬場にはならないこの梅雨時期の気候。 宝塚記念に求められる資質は、「府中・根幹距離・パンパン良馬場」で開催されることの多い主要GⅠとは異なる。 それだけに、この宝塚記念が…

【ご案内】宝塚記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

梅雨時期の仁川を彩る、夏のグランプリ・宝塚記念。 一年間の総決算となる年末のグランプリ・有馬記念とは異なり、どこか優しく、どこか「夢」というフレーズが似合うように感じます。 1996年、あの年の宝塚記念の記憶とともに、そんな記事をウマフリさんに…

水無月、府中への帰還。 ~2020年安田記念 回顧

ダービーが終わった後は、どうしても「祭りのあと」の虚脱感と弛緩がある。 あぁ、今年も終わってしまった、と。 けれども、翌週から行われる新馬戦と安田記念が、いつもその虚脱感を現実に引き戻してくれる。 私が競馬を見始めた頃は、夏の新馬戦と言えば、…

最高傑作は、風と共に。 ~2020年東京優駿(日本ダービー) 回顧

風を、マイクが拾っていた。 平原綾香さんによる、国家独唱。 本来ならばそこにあるはずの、興奮とざわめきの止まらないスタンドの歓声は、今年は無い。 このダービーの前の国家独唱が、たまらなく好きだ。 天皇賞にも有馬記念にもジャパンカップにもない、…

【ご案内】無観客で開催される日本ダービーに寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

今週末は、いよいよ日本ダービーです。 競馬の祭典とも呼ばれる日本ダービーですが、感染症の拡大を受けて76年ぶりの無観客での開催となります。 私自身も、昨年に引き続いて現地での観戦を企んでおりましたが、やむなくテレビでの観戦となりました。 そん…