大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

止まった時計の針を動かすのは、まるで関係のなさそうな現在の問題だったりする。

過去のできごとのなかで、感情を抑圧してしまうことがあります。

その止まった時計の針を動かすのは、それとはまるで関係のなさそうな現在のできごとだったりするのです。

1.過去の痛みとは、未完了の感情

昨日の記事では、過去の痛みとは、未完了の感情、というテーマでお伝えしました。

過去の痛みとは、未完了の感情。 - 大嵜直人のブログ

「判断」の心理からの流れでした。

「判断」とは、なんらかの基準をもって、起こったできごとや周りの人、あるいは自分自身をいい・悪いの切り分けをしたり、裁いたりすることを指します。

この「判断」が強いと、どうしても相手を裁くことで非難したくなりますし、悪いことすることをできなくなるので、非常に生きづらくなります。

日常のなかに、禁止事項が山ほどある状態って、なかなかにしんどいですよね。

「嘘をついてはいけない」

「身体に悪いものを食べてはいけない」

といったことを厳格に守ろうとすると、疲れてしまいますよね。

嘘をついてしまうこともあれば、ジャンクなものを食べたくなるのが、ニンゲンですから笑

こうした「判断」の基準は、過去の痛みからつくられるものです。

過去に嘘がバレてしまったことで信頼を失ったり、あるいは、小さいときに親から「お菓子ばっかり食べて!」といつも怒られたりしたこと、そうしたことの痛みが、基準をつくるものです。

ただ、こうした過去のできごとが、すべて基準の原因になるかといえば、そうではありません。

そこで、感じたことを抑圧してしまったり、感情を無視してしまったりすると、それが過去の痛みになりやすいのです。

要は、未消化、未完了の感情が、過去の痛みになりやすい、と言えるでしょうか。

昨日の記事では、こうした感情を抑圧してしまうことは、決して悪いことではなく、ただそうせざるを得なかっただけである、という視点と、時間が経ったとしても、それは消化していくことができる、という点をお伝えしました。

2.感情を抑圧し続けるのには、とても疲れる

心の世界には、時間の概念がないといわれます。

何年も前に、大好きだった恋人から別れを告げられたときの風景や、そのとき言われた言葉、そこで感じたことを、昨日のことのようにリアルに覚えていたりします。

誰でも、そういったことに思い当たることがあるのではないでしょうか。

昨日のことも忘れていることもあるのに、不思議ですよね。

心には、時間の概念がない。

なにかできごとが起こって、そこで感じたことを未消化な状態でいると、その感情はタイムカプセルに入れたように、ずっと心のどこかに保管されるものです。

タイムカプセルのように、埋めたことを忘れるくらいならいいんですが、感情は抑圧するのに、とてもエネルギーを使うんですよね。

滔々と流れる大河の流れを止め続けるような。

活火山の噴火を止めるような。

それくらいの、エネルギーを使ってしまうものです。

感情を抑圧し続けていると、そこにエネルギーを取られてしまい、なかなか自分のしたいことができなかったり、ポジティブな感情もまた感じられなくなってしまったりします。

感情を抑圧し続けるのは、とても疲れるんですよね。

だから、抑圧した感情は、それを感じて消化してあげないといけないんですが、なかなか自分の意志では難しかったりします。

このあたり、掃除とか、そういったものと似ているかもしれません。

「うーん、まだ、いいかな…」と、積極的にはなれないですよね。

あ、掃除が大好きで毎日するのも苦にならない人もいるので、たとえとしては、あまり適切ではないですね笑

3.止まった時計の針を動かすもの

掃除がどうかは別として、こうした抑圧してきた感情を開くカギは、それとまるで関係のない「現在の」問題だったりします。

いや、同じ心の話ですから、関係ないことはないですね。

まるで関係ないように見える、といった方が正確でしょうか。

たとえば、過去に親との関係のなかで起こったできごとで、抑圧してしまった感情があったとして。

その抑圧した感情を動かすカギが、いま目の前で起こっている、仕事の上での問題や、パートナーシップの問題だったりします。

もちろん、目の前で起こっている問題は、親とのできごととはまったく関係がありません。

上司との葛藤かもしれませんし、自分のやりたい仕事ができていない悩みかもしれませんし、仕事で誰も助けてくれないことかもしれません。

あるいは、パートナーとの不仲かもしれませんし、パートナーの浮気問題かもしれません。

それは、一見まったく関係のないように見えるかもしれませんが、そこで動いた感情の蓋が、実は過去に抑圧してきた感情だった、ということもめずらしくないのです。

だから、カウンセリングのなかで、「過去に、同じような感情を感じたことがありますか?」と伺ったりすることがあります。

それは、その問題を解決するというよりも、その問題が見せてくれる感情にフォーカスしているからです。

なぜ、そう感じたのか。

そして、そう感じたことを、抑圧してしまったのは、どうしてなのか。

それを掘っていくと、過去のできごとと、そこで感じたことを消化していくことができるのです。

そうすると、感情を抑えつけておくエネルギーを使わなくてよくなる分、前向きに自分の人生を生きることができるようになったりします。

また、その目の前の問題の見え方自体も、変わっていったりるすのです。

そういった意味では、何か目の前に問題があらわれたとき、「この問題が見せてくれる感情は、なんだろう?」という視点を持つことは、とても意味のあることといえます。

今日は、止まった時計の針を動かすのは、まるで関係のなさそうな現在の問題だったりする、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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