入梅の少し前に、熱田神宮を訪れることができました。
1か月ぶりくらいでしょうか。
前回訪れたのは、新緑の季節。
そこから、ずいぶんと季節は流れたようです。
関東地方は梅雨入りしたとの報がありましたが、この日の東海地方は、まだその報は聞かれず。
この日も、朝から気持ちよく晴れていました。
けれど、少しその空気には湿気を含んでいて、季節が流れていることを感じさせます。
参道を歩いていると、じっとりと汗ばむような陽気。
このまま気温が上がっていくと、梅雨入りせずにそのまま夏がきてしまいそうな。
そんな感じがするのです。
上知我麻神社の前。
早春に咲いていた椿の木にも、もう淡い桃色はなく。
かわりに、目に染みるような緑色が、腕を広げて。
なぜか、少し景色の輪郭がぼんやりとしていて。
湿気を含んでいるからなのか、不思議です。
少し、写真からも伝わるでしょうか。
そうかと思えば、境内の緑は、ほんとうに青々として美しく。
午前8時台でしたが、朝日というよりは、もう完全に日中の日差し。
そういえば日の出も、ほんとうに早くなりました。
もうすぐ夏至、夏に至る日。
陽中の陽、もっとも日中の時間が長くなる時期を迎えます。
そして、夏至という陽が極まれば、少しずつ日が短くなっていきます。
もちろん、暑い夏はこれからです。
けれどその裏側では、もう秋に向けて準備が進んでいると思うと、どこか切なくなります。
目に見えるものと、目に見えないものと。
目に見えないものの方が、先に進んでいくような。
こう書くと、目に見えないものの方が、大切なように聞こえるかもしれないけれど。
決してそんなこともなくて。
この目に映る、輪郭のぼやけた緑色の風景もまた、美しく。
昼と夜、陰と陽、男と女、死と生。
一つの極と、もう一つの極。
そんなことを思いながら、本殿の前で手を合わせます。
この日は、参拝客も少なくて、静かな時間が流れていました。
もうすぐ、陽の極み、夏至。
その前の熱田さんは、やはりどこか輪郭がぼやけて、やさしく迎えてくださいました。
また、訪れるのを楽しみに。